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This website is prepared by Kenichi SATO
who is Chief Director and Editor-in-Chief of Eibun-Horei-Sha, Inc.

「デフレーションとインフレーションと外国為替及び外国貿易の関係に関する一考察」

 デフレーションとは物の値段が下がることですが、これは逆に言うと貨幣価値が上がることです。易しく説明すると、100円もっていて物の値段が下がって80円になると100円の価値が20円分上がってしまうことです。これを外国為替と関連させて考えると、デフレーションは円高(円の価値が上がること)をまねきます。

 また、一方でインフレーションは物の値段が上がることですが、これを逆に言うと貨幣価値が下がることです。易しく説明すると、100円もっていて物の値段が上がって120円になると100円の価値が20円分下がってしまうことです。これを外国為替と関連させて考えると、インフレーションは円安(円の価値が下がること)をまねきます。

  外国から輸入をするときは、外国に発注して買い物をしたと考えれば良い。例えば、米国からトウモロコシを輸入したとすると、日本円を売って米ドルを買って支払をしなければならない。トウモロコシを仮に1000ドル分購入したとすると、1ドル100円の為替レートの場合は100,000円支払わなければならない。それが、円高(円の価値が上がって、米ドルに対する日本円の価格が下がること)になって1ドル80円に為替レートがなったとすると、トウモロコシ1000ドル分は80,000円で購入できる。したがって、円高になったおかげで20,000円安く輸入(購入)できたことになる。つまり、自国通貨高のときは、輸入がしやすくなることが理解できる。逆に、1ドル120円の為替レートの場合は、1000ドルは120,000円だから、為替が円安(円の価値が下がって、米ドルに対する日本円の価格が上がること)になったことによってトウモロコシ1000ドル分を20,000円高く買わなければならなくなる。つまり、自国通貨安のときは、輸入がしにくくなることが理解できる。

 反対に外国へ輸出するときは、外国にいるバイヤー(購入業者や消費者)に買い物をしてもらって自分は売り手になったと考えれば良い。例えば、100,000円の日本製の冷蔵庫を米国に売ったと考えよう。1ドル100円の為替レートのときは、1000ドル支払ってもらえる。円高になって為替レートが1ドル80円のときは1250ドル支払ってもらわなければならない。つまり、円高になったことによって、例えば中国製の冷蔵庫が売れて、日本製は価格が高いので売れなくなってしまうことが考えられる。日本製は国際競争力が落ちたことになる。逆に、円安になって1ドル120円の為替レートのときは、100,000円の日本製冷蔵庫は833ドル33セントで日本が売って米国が買ったことになる。つまり、自国通貨安は輸出には追い風である。ビジネス(商売)の秘訣はどんな場合でも、安く買って高く売ることである。これは、貿易だけではなく、金融機関のやっている外国為替取引でも同じである。1ドル80円でドル紙幣を購入して、1ドル120円でドル紙幣を売れば、40円利益があがったことになる。これが1ドルではなくて1000ドルだとすると、ドル紙幣を80,000円で購入して120,000円で売却して40,000円利益を上げたことになる。金額が大きくなれば、紙幣の売買だけでかなりの利益を上げることができる。

  平成24年5月24日午後3時頃の円とドルとユーロは、実際に幾らになっているでしょうか。日本経済新聞のウェブサイトを見ると、1ドルは79円48銭から52銭、1ユーロは99円93銭から98銭で取引されています。金融機関で外国為替取引を仕事にしている人たち(機関投資家)は、貨幣を安く買って高く売って利益をあげようとおもっていますが、外国為替取引は世界中で24時間取引されているので、為替ディーラーは市場(マーケット)が気になって夜に眠れない人もいるようです。本日、平成29年11月1日午後6時頃の円とドルとユーロは、1ドル113円94銭から95銭、1ユーロは132円66銭から70銭です。5年前に比べて円安ドル高、円安ユーロ高になっていますね。

 インフレーションを起こすには円安を目指さなければならないので、日本銀行は、輪転機を回して日本銀行券を刷ってマネーサプライ(通貨供給量)を増やして外国に売却(円売り外貨買い)するか、国債や米国財務省証券を初めとする金融商品を公開市場操作で買いオペレーションをおこなうしかない。通貨供給量を増やしたかったら買いオペレーションをしたら良い。通貨供給量を減らしたかったら売りオペレーションをすれば良い。日本銀行が買い物をすれば市場に通貨供給量は増えるし、日本銀行が保有している金融商品を売れば市場から通貨を取り戻すので通貨供給量は減ることになる。異次元緩和策で社債や株式だけでなく原油の購入を日本銀行が扱うようになるだろうか。インフレーションもおきるし資源確保にもつながるが、そうなったら金融政策というよりも産業政策を中央銀行が手を出すようになったことになる。しかしながら、いつまでも化石燃料に頼れないのは事実だし、外部不経済(公害)も考えなければいけない。何のために経済政策を打つかというと、すべての日本国民が厚生を得るようにするのである。利益を上げることは良いことです。インフレ率についてはプラスであれば良いのである。識者が指摘するように、2%のインフレ率達成にこだわるよりもGDPの成長率を上げることのほうが重要に思われる。金利については、サプライサイド(供給側、端的に言うとレベニュー(Revenue:歳入))に悪影響があるので、マイナス金利への誘導政策は止めた方が良い。日本国財務省は、主税局はBureau of Revenue、主計局はBureau of Expenditureに呼称を改めた方が良い。

 日本は資源がなく外国から原料を仕入れてきて加工して付加価値をつけて外国に製品を売るという科学技術立国によって日本経済を成り立たせるしかないので、技術力の低迷と過度な円高は日本企業の悩みのタネである。日本国内では公共事業と観光しか産業のない県もあります。

 日本国民は、税金を納めているのは民間企業と個人しかいないことに気がつくべきである。官尊民卑の思想はいい加減に改めなければだめである。役人は、民間企業は下請けだと考えているらしいが、政府ができる前から民はこの国にいたのである。ただ単に、民間企業にとってみると、役所もお客さまになることがあるので、丁寧に応対しているだけである。

H+C+G+(X-M)=Y

Y=C+I+G+(X-M)

 

Supply Side:

H=Household Revenue

C=Corporate Revenue

G=Government Revenue

X=Export

M=Import

 

Y=GDP

 

Demand Side:

C=Consumption Expenditure

I=Investment Expenditure

G=Government Expenditure

X=Export

M=Import

  国内総生産(GDP)は、需要側と供給側で計測すると等式ではつなげない。これをGDPの受給ギャップ(Supply Demand Gap)という。これまでケインジアンは需要側を重要視してきたが、お金を使う方ばかり重要視し過ぎてきた感がある。ひいては、政府の歳入と歳出のギャップ(赤字財政)を正当化するのに使われすぎてきた。取引が成立するためには、買うひとも売るひとも双方二面性があるのを双方満たさなければ成立しない。買う人はお金を払う立場と財・サービスをもらう立場との二面性があり、売る人はお金をもらう立場と財・サービスを渡す立場の二面性がある。ケインジアンは買う立場を重視しすぎである。売ってもらえるだけ有難いことだって、あるのである。今一度、財政均衡主義に立ち戻って、政府は「市場の失敗」による公共財の提供のみに自身の役割を限定すべきである。外交、防衛、救急、消防、警察、安心、安全、清掃、徴税、法務にくらいに絞らないと、政府はどうしても肥大化しすぎである。政府の大きさは税金の大きさで測れる。財務省主計局のおおなたに期待する(無理かもしれないが)。行政府が立法するのはおかしいし、立法官という存在がおかしいので、日本もそろそろ成文法主義から判例法主義に体質変換すべきだろう。

 消費税はあまねく消費に公平に課税するところに意味がある。消費税は消費にかけるもので、品目にかけるものではない。新聞税でも作ろうと言うのだろうか。複数税率にすると贅沢品と生活必需品を法律で規定しなければならなくなる。贅沢品と生活必需品の区別については多分に主観的なものである。例えば、外食するのと材料をスーパーマーケットで買ってきて家で食事を作るのをどちらが贅沢なのかということは決められない。実際、ファミリーレストランで食事をしたほうが、スーパーマーケットで買ってきて作るのより安くあがったりするのである。セブンイレブンで弁当を買ったときに8%の税率で、隣の松屋で牛丼を食べた場合は10%の税率ではおかしいではないか。弁当と一緒に歯ブラシを買った場合、レジスターが対応できない。何にお金を使うかなどということはそれこそ消費者の自由である。そのうち何が8%の税率で何が10%の税率の品目なのかを法律で規定して羅列しなければならなくなってしまう。国が、何にお金を使うかを管理し始めることになってしまい、政府が経済を管理しようとすることになってしまう。政府はあくまでも市場における取引の自由を保障するためにあるだけで、必要以上に経済主体になるべきではない。市場メカニズムに政府が過度に干渉すると市場の参加者の利益を損なうことになる。計画経済への入り口である。食べ物は粗末でもいいから、薬を飲んだり、旅行したり、ポルシェに乗りたいという人(彼は破産した)だっているのである。

  政策金利を下げると民間銀行の貸付金利が下がる。それによって市場に貨幣が出回りやすくなり、民間企業が融資をうけるインセンティブが働いてマネーサプライ(通貨供給量)が増えるときの中央銀行の金融緩和策と同じ効果がある。金融政策で景気刺激の緩和策を講じようと思ったら、通貨供給量を増やすか、政策金利を下げるしかない。しかしながら、企業は投資収益率でビジネスを行うので、通貨供給量の増加と政策金利低下だけでは企業は投資を行わない。いくら法整備をしても法律の力で経済が発展するわけではない。わたくしは無政府主義者ではないので政府の役割を全て否定するものではないが、共産主義や社会主義と呼ばれる「全体主義」につながる「大きな政府」では経済が発展しないのは当然である。第三セクターとよばれる自分のことが自分でできない政府の皮をかぶった特殊法人があまりにも多くて、純然たる民間企業の利益を圧迫しすぎて日本経済が発展しないのもあたりまえだともおもわれる。行政改革と財政改革には財政投融資の改革が重要である。郵便局の民営化の先にあるのはそれである。

 日本銀行は市中銀行の日銀に預ける当座預金の金利をマイナスにした。(公定歩合の実務) これによって当座預金へ預けるのではなく、市中銀行が融資にお金をまわしたり、債券や株式に資金を振り向けることを期待したようである。マスコミは指摘しないが、実際は、当座預金の金利がマイナスならば、日本銀行に市中銀行は預金を預けたくなくてやめる方法はないのかという意見もでているようである。銀行がタンス預金にすることもできないであろう。

  数ヶ月間長期金利つまり10年物国債の金利がマイナスになっている。これはどういうことかというと、国の借金である国債を放っておくだけで、借金が減っていくことです。国債を購入した金融機関や個人は国債をもっているだけで、金利がつくどころではなく国に貸している債権が目減りしていくということです。例えば、長期金利がマイナス0.1%のときに100万円の国債をもっていると、1年間で資産が1000円目減りして、99万9000円の資産になってしまうのです。マイナス金利政策は、サプライサイドに悪影響があるのでやめたほうが良いと思います。

いろいろと述べたが、ベンサム流の功利主義(最大多数の最大幸福)を乗り越えて、ジョン・ロールズ先生の正義論に学ぶことも多いようである。マイケル・サンデル先生の正義論も、みんな仲良くやれ、ということが言いたいようです。ラグビーフットボールで学んだ、ONE FOR ALL, ALL FOR ONEが非常に大切に思える今日この頃である。最後まで読んで下さりありがとうございました。

                               平成29年11月1日